悩みにどう寄り添うか

悪性腫瘍などの慢性疾患は、緩やかな経過で発症します。突然に体調が悪くなったり、腫れがみるみるうちに大きくなったりといった変化は目で確認できない場合が多いです。手術などが適用できない場合には、薬によって緩やかに治療していくことになります。特に悪性腫瘍は治療による副作用が問題となることがあり、腫瘍に関する自覚症状は無いのに治療ばかり辛い、と苦しむことがあります。そうして治療を途中で投げ出さないように、患者さんに対してはメンタルケアが必要である、と言われています。

特に、悪性腫瘍の告知の直後は大変落ち込みがちです。予想だにしない告知と命の危険を知らされる恐怖で気分はどん底に落ち込み、実際に1割~3割の人が落ち込みから脱却できないままになり、治療に積極的になれないといった問題を生じます。精神的な立ち直りは、慢性疾患の治療には特に大切な部分です。心がある程度立ち直っていないと、治療成績に影響し、同じ治療を行っているはずなのに効果に差が生じることも知られています。病は気から、気は病から、というどちらの側面もあるのです。

このようなことから、慢性疾患患者のメンタルケアは医療従事者のチーム全体の課題となっています。医師はもちろん、患者さんの間近で看護を行い、患者家族とも接する機会の多い看護師も積極的に参加しなくてはなりません。無為に頑張れと励ますだけではなく、どのような点が辛く、心配なのかという本質的な部分についてもきちんと耳を傾け、支えていく必要があるのです。